竹下隆一郎@報道ステーション/あのコメントはパクリではないのか?

昨日(7月20日)の報道ステーションに、ハフポスト日本版編集長の竹下隆一郎さんという方がコメンテーターとして出演し、今国会に対する総括的コメントを述べていました。その内容に野口雅弘成蹊大学教授のエッセーの主要な部分を利用(引用)しているのはないかと思われる部分があるのですが、こういうのはパクリにならないんでしょうか?

竹下隆一郎氏の報道ステーションでのコメント 

まず、竹下氏のコメントはこちらです。但馬問屋さんのツイッターを引用させていただきました。

コメントの概要は、

  • 今国会、野党の追求が甘くて盛り上がらなかった
  • ただ、野党も苦しい立場にいる
    • ネットメディアや20代の若者を見ていると、野党のように批判することにアレルギーがあり、イチャモンをつけているように見えるようだ
    • これは、政治だけではなく、ビジネス、学校などの現場でも、議論は悪いことで、空気をこわしてしまうネガティブな印象を持たれている
    • 今の若い人は、小さい時からコミュニケーション力が重要、協調性が大事、空気を読みなさいと言われて育ってきた人たちなので、激しく抗議している野党を見ると、なぜそんなに文句を言っているのだと見えてしまい、野党に支持が集まらない現象が起きている

というもので、すべて竹下氏ご自身の考えとして話しています。 

野口雅弘氏の論考 

で、野口雅弘さんのエッセーというのは、現代ビジネス7月13日付の記事で、ご本人がエッセーと書かれていますのでそう記しましたが、内容はちょっとした論考と言うべきものです。

まず、冒頭の画像とリンク先です。 

gendai.ismedia.jp

少し引用しながら概要を示しますと、

まず、政党、とりわけ野党への不信感が広がっているのはなぜなのか? と問題を立て、野口氏自身が教壇に立っているわけですから、若者の自民党支持率が断然高いことの理由を探ることからスタートします。

自民党を支持する10〜30代世代の「コミュニケーションのあり方」

いまの「若者」は、物心がついたときから「コミュ力」が強調された世代であると言います。

学校でも職場でも、ナチュラルに感じよく会話ができれば、ものごとは円滑に進む。社会の流動性が激しくなり、かつてのようにずっと同じ職場で、同じメンバーと仕事をすることが当たり前でなくなれば、即座に当たり障りなくフレンドリーな関係を作り、その場の「空気」をうまく読み、それを継続する「コミュ力」がその分だけ評価されるのも当然ではある。

竹下氏が「政治だけではなく、ビジネス、学校などの現場でも」と語り始めていることと妙に重なります。

「コミュ力」が求められる世界の政治的な帰結

コミュ力を測定基準とする社会であれば、面倒くさい事態を招く「コミュ障」は、その社会では受け入れられなくなり、「野党」的なものは否定される存在になります。

法案に反対してプラカードを掲げる野党議員や、暑い夏の日に、タオルを巻いて座り込みを続ける人たちの評価はどうしてもよいものにはならない。

竹下氏が言う「イチャモンをつけている」と見えるわけです。 

野党嫌い

結局、声を荒げて抗議したりする「野党」は「コミュ障」に見え、そもそも受け付けられない存在であり、アレルギー反応のように「野党嫌い」になるという連関になります。 

「コミュ力」が高いとされるのは「野党」にならないように振舞うことができる人のことであり、会話の中で地雷を踏むことにビクビクしている人は「野党」の役回りに追い込まれることを全力で避けようとする。 

ということで、竹下氏のコメントは、この野口氏の論考とロジックがほぼ同じです。

ただ、この二人の問題意識は全く逆のところにあり、そもそも、野口氏は、

こうした可能性の乏しいコミュニケーション(筆者注・コミュ力重視のこと)は同調過剰になり、表層的になり、深まらず、退屈で、そして疲れる。

と、否定的に、この状態は好ましくないと言っているのであり、それに対し、竹下氏は、この若者の状態を肯定し、まあ言うなれば、「野党はかわいそう」と嘲笑的に見ています。

つまり、竹下氏自身は「コミュ力」があり、かつ生産的に社会に関われる存在(といった感じかな?)であるとコメントの裏に匂わせているわけです。

で、文章であれ、映像的なものであれ、形として残るものの著作権(的なもの)は、かなりシビアにみられますが、こうした話し言葉というのは、他人の考えを自分の考えのように話すことに問題はないのでしょうか?

ただ、この件、竹下氏が野口氏の論考を読んでいるかどうかもわかりませんし、あるいは、野口氏の論考自体が一定程度流通している定説的なものかもしれません。ただ、私自身が、野口氏のの記事をつい2、3日前に、なるほどと読んだばかりですので、気になって仕方ないということです。

それに、言っちゃなんですが、この竹下隆一郎さんって、昨日のコメントでの印象ですが、底が浅そうです(ペコリ)。