管理会社選定において組合員向けプレゼンに意味はあるのか?

管理会社選定=何とか内定まできたが、ああ、人の心の中はわからない…」の続きです。

再度整理しますと、今回、管理会社を変更するにあたり、マンション管理士さんに仕様書を作成してもらい、9社に見積り依頼し、理事会で3社を選定し、組合員向けのプレゼンテーションの場をもうけ、それぞれ推薦する会社を出してもらい、それにもとづいて1社を選定しようとしたところ、理事長である私と他の方との意見の相違が生まれたため、あらためて話し合いの場をもうけて、その結果を受けて理事会で1社選定したという流れになります。

この一連の中で管理組合運営について幾つかの問題が浮き彫りになっています。

管理会社はどう選ぶべきか?

あげれば幾つか要素があるのでしょうが、何と言っても「金額」、そして「所有者や住民の身になって考えてくれること」だと思います。

結局、この二つのバランスで選ぶことになりますが、問題は、この二つ目の要素が簡単には分からないということです。そのための方法としてプレゼンテーションという場を設けるのでしょうが、本当にこの方法は有効なんでしょうか?

今回感じたのは、仕様書に基づいて見積もりなどの提案を受ける場合、プレゼンテーションでは、事前にもらっている提案書、会社概要や管理体制の書かれた企画書のようなものですが、その提案書を説明すること以上のことはありません。仮にプレゼンテーションがうまくたって、そんなことは管理能力と直結しているわけではありませんので、結局プレゼンテーションにあまり意味が感じられませんでした。

実際に担当していただくフロントマンの方にも来ていただきましたので、どんな方かと幾つか質問もしましたが、そう簡単に人柄など分かるはずもありません。

プレゼンテーションより個別に面談すべき

上の一連の流れには書いていませんが、理事会で3社選定後に、私は理事長として、実際のところどんな会社なのかと3社と個別に面談しています。

理由は、見積内容を正確に詰めたかったことと、実は過去こうしたプレゼンテーションを2,3度行って大規模修繕工事などの業者を決めているのですが、結局、上に書いたように、時間をかけて直接話しをしないことにはよく分からないと感じていたからです。

このことをマンション管理士さんに相談した際には、「じゃあ立ち会いましょう」とおっしゃるのかと思っていましたら 「業者が驚くかもしれないですね」とおっしゃったきり、結局、私だけ3社と個別面談をしたわけです。

この面談で分かったことは大きいですね。

たとえば、大手の業者の中には、企画書上の管理戸数や従業員は多くても名古屋支店の経歴は短く、管理戸数もさほど多くないところもあるとか、見積もり前にどの程度の下見をして意気込みがどうだとか、会社の目指している方向だとか、あるいは会社の体質が垣間見えたりとかと、これから大規模修繕や耐震など、さらには建て替えについてもいろいろ話をしていかなくてはいけない理事長として、この個別面談で得るところは多かったです。

結局、これがプレゼン後の他の組合員との評価の差につながったのではないかと思っています。

なぜ組合員の推薦会社が、ある1社に偏ったのか?

これが非常に不思議なんですが、私も、マンション管理士さんも、3社の内、ここはないだろうと思っていた1社を、理事をのぞく皆さんが推薦されたんです。

推薦の理由は二つです。地元の会社であることと料金が最安だということです。

これは、自分がその考えを持たないからといって無視できないことですし、してはいけないことでしょう。

とは言っても、なぜこうなるのかは本当によく分かりません。ひとつ考えれらるのは、整理された情報提供がうまくなされていないことが原因ではないかと思います。

たとえば、本社が地元であることと支社や営業所があることの違いはあるのかとか、マンション管理の詳細、つまり実際に管理委託することの内容に地元であることが有利に働くのかとかを説明せずプレゼンテーションをやっていることに問題があるように思います。

料金の問題は難しいですね。実際に付き合ってみなければ、安かろう悪かろうなのか、安くても高品質なのかは分かりません。

結局、料金の高い方に、高い分のプラスアルファがあるかないか、あると考えるかどうかですね。これはもう話し合って意見交換するしかありません。

今回の場合は、何せ築43年目のマンションですから、将来を考えた場合、大規模修繕、耐震補強、そして建て替えなど、何年目を目処に何をしていくかをより多角的な視点からアドバイスできる(だろう)、あるいは、対応できる管理会社を選ぶべきとの論点で皆さんを説得(というほどでもなく、割りと理解された)したということです。

マンション管理組合の民主主義とは?

今回の件で、一番苦労したのは、組合員の意見をどう収集し、どう集約し、最終的に自分の考えとうまく折り合いをつけてことを運ぶかということでした。

そもそも、現状、総会への出席者は、全組合員49人、議決権51個の内、通常15人程度です。多くの方は委任状を出されますが、音沙汰なしの方も10人程度います。

管理会社のプレゼンテーションに参加された方が、私を含め11名、その後の検討会の参加者が7名、最終的には総会へ提案して採決をするという正しい手順を踏んでいますので何ら問題ないのですが、それでもこれでいいのかなあとは考えてしまいます。

それと、プレゼンテーションの場に参加された方の考えをどう扱うべきかが非常に難しいです。

結局、地元が本社の会社を推薦されながら検討会に出席されなかった3人の方の意見は尊重されなかったことになりますので、今から思えば、その場で話し合うべきだったかも知れません。

検討会に出てこなかったのだから仕方がないともいえますが、じゃあそもそも推薦会社など出させなければいいという考えも生まれますし、さらに遡れば、意見が反映されないのであれば組合員向けプレゼンテーションなどやらなければいいところまで行き着いてしまいます。

民主主義とは本当に難しくもあり面倒なものだということなのでしょう。

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