【中日新聞】米軍トップ「果敢な行動」促す=日本よ、しっかりしないとアメリカに捨てられるぞ、ってことか?

今朝の中日新聞の一面に「米軍トップ『果敢な行動』促す」の見出しで、何とも奇妙な、よく考えれば非常に怖い、掲載した中日新聞の意図もよく分からない記事が出ていました。

www.chunichi.co.jp

ネットでも同様の記事が出ていました。リンクはいずれ切れるでしょう。

記事の概要は、福島の原発事故の際、自衛隊によるヘリコプター海水投下作戦に対して、米軍のマレン統合参謀本部議長から、折木良一統合幕僚長へ「果敢(アグレッシブ)な行動が必要だ」と決断を促す電話があったというものです。そして、作戦実行2時間前には、2度めの電話で「自衛隊が最後の砦だ。決断するのは統幕長しかいない」と言われたそうです。(肩書は当時)

折木氏本人は、マレン氏の発言は作戦そのものに影響を与えていないと言っているようですが、「事故後10日間は日米同盟が壊れかねない芽があった」とも語っていますので、これは影響を受けていないはずはないですね。

ここから見えてくることは、

  • 非常時(だけではないかも)、アメリカ軍は自衛隊の制服組に直接圧力をかける
  • 自衛隊制服組は、このままで日米同盟が危ないと官邸に圧力かける

という流れであり、原発事故だけではなく、イラク派遣や安保法制など多くの局面でこの図式の力関係が働いでいるのではないでしょうか。

で、この記事は社会面に続きがあります。

chuplus.jp

こちらのリンクはログインしないと一部しか読めないと思います。

こちらの概要は、

  • 15日、福島原発4号機水素爆発
  • 折木氏のもとに、マレン氏とフィールド在日米軍司令官から電話
    • マレン氏からの電話の内容は明確には書かれていないが、上記の「アグレッシブ」の内容だと想像できる
    • フィールド氏の電話は「心配するな。われわれは残る」だったらしいが、実際には、米軍は在日米軍の撤退を検討している
  • 15日午後4時、北沢俊美防衛相と折木氏が官邸へ行き、ヘリコプターによる海水投下作戦を進言し、菅総理が「ぜひやってくれ」と命令
  • 16日、上空の放射線量が高く実行断念
  • 17日、作戦決行2時間前、マレン氏から電話で「決めるのは統幕長しかいない」

ということで、記事は、折木氏の「同盟は運命共同体ではない。厳しいところは自分でやらないと、同盟そのものが壊れてしまう」とのコメントで締めくくっています。(肩書は当時)

で、何が問題かというと、

  • 米軍の現場は、アメリカ政府→日本政府→自衛隊という関係など頭になく、自衛隊を下部組織と考えている。
  • 自衛隊制服組のトップは、日米安全保障条約は運命共同体だと信じている。
  • 自衛隊制服組は、日本政府ではなく、米軍の指示により行動する。
    これは、多分背広組も含め、防衛省全体がそうでしょう。

ということが、いまさらながら明らかになっていることです。

それにしても、中日新聞は何を意図してこれを記事にしているんでしょう?

日本よ、しっかりしないとアメリカに捨てられるぞ」と言っているようにも読めますし、自衛隊と米軍の一体化に警鐘を鳴らしているとも読めますし、何とも奇妙な記事です。