「黄金の服/佐藤泰志」を映画にしたい

なぜ自分が佐藤泰志にはまっているのか。それがとても良く分かる作品集だった。

「オーバー・フェンス」「撃つ夏」そして「黄金の服」3編が収められている。

「オーバー・フェンス」は、多分函館に戻った時の自分自身が反映された作品で、職業訓練学校に通う男を中心にした物語である。学校の科対抗のソフトボール大会から「オーバー・フェンス」のタイトルが来ているのだろうが、それほどぴったりというわけではない。概して、この作家はタイトル付けがうまくない。

「撃つ夏」は、入院している男の話で、当てのないいらだちとどうしようもないあきらめと、この2つは、この作家のほとんどに共通している空気なのだが、病院の窓から鳩を指鉄砲で撃つところからタイトルは取られている。

そして、「黄金の服」、私は大島渚監督の「青春残酷物語」を思い出した。「移動動物園」にも書いたが、その青春のひりひり感は、「移動動物園」以上だ。それが私を刺激するということだ。

タイトルは、ロルカの詩の一節から取られており、主人公の男の友人の弟が撮った実験映画のタイトルから来ている。多くのタイトルが、そういった作品の中のほんのちょっとの関わりから取られることが多い。多分それもこだわりなんだと思う。

佐藤泰志さんの作品は、映画にしたくなるものが多い。読みながら、スクリーンが見えてくる感じだ。ただ、今ヒットする作品になるとは思えないが…。