国境の南、太陽の西/村上春樹その後8

新しい年が村上春樹から始まってしまいました。

それにしても、タイトルのつけ方がうまい人です。ほめているわけではありません。タイトルからイメージされる(私がイメージする)ものと、内容が全く違うのに、何かしら(私は)惹かれるという意味です。

この「国境の南、太陽の西」というタイトルから、私がイメージするのは、メキシコ辺りのロードムービー的な話ですし、「ねじまき鳥クロニクル」にしても、時間軸の長い、言葉通り年代記的なものを期待します。でも、どちらも、それらに関する記述はあっても、内容を表したタイトルとは言えません。

「国境の南」は、ナット・キング・コールの歌から取っているらしく、その記述はもちろんありますし、「太陽の西」も、ヒステリアシベリアナ(この言葉は実際に使われているのかな?)を語る中で説明されてはいます。しかし、小説全体として、うまく心にストンと落ちるような感じはしません。あざとく狙っている感じがしてなりません。

これまでの「その後1〜」も含め、これだけ嫌いなら読まなければいいのにと、自分ながら思いますが、嫌いなのについつい手に取ってしまう何かがあるのでしょう。

で、「国境の南、太陽の西」、さして、これまでの作品と違ったところはありませんが、超常現象や非現実的な人や事柄を登場させない分、私は好感を持ちます。

それにしても、相当自分のことが好きな人です。ここまで作中の「僕」の人物像が同じってことは、ほぼ「僕」=村上春樹ってことで間違いないでしょう。この先読んでいって、果たして、「僕」以外の話はあるのでしょうかね?